無権利創作宣言
要約
無権利創作宣言に準拠することが明示された著作物は著作権放棄され、いかなる人・法人も、営利目的であるか否かを問わず、ライセンス料を支払うことなく利用することができます。
ただし、その著作物に関して問題が発生した場合でも、作者は一切責任を負いません。
政治的思想の表明などセンシティブな用途での利用も著作権により制限されることはありませんが、そのような利用の場合は作者がそうした用途での利用を期待していない旨を明記することが強く推奨されています。
※以下の全文と要約の間に差異があった場合、全文が優先されます。
全文
無権利創作機構 無権利創作宣言
序文
学習権と表現の自由は全ての人に等しく認められるべき人権であり、全世界の人々が多様な社会問題を解決するためのアイデアを生み出す基盤として、また、社会的弱者が他者と対等に自己実現を果たすための武器として、いついかなるときも欠かすことのできない存在です。
しかしながら、学習権と表現の自由は著作権や商標権をはじめとする知的財産権により制限されうる権利であり、知的財産権の存在は、身分や財産によって人々を区別し、知識を得る機会や表現の自由を収奪することを可能とします。
無権利創作機構は、全ての人々が平等に学習と表現の機会を得ることができるよう、知的財産権に縛られない知識と創作の共有手段として無権利創作宣言を提唱します。
定義
「本宣言」とは、この文章及び以下の文章の全てです。本宣言の一部または全部を削除し、または本宣言に何らかの文章を付け加えることによって得られる文章は本宣言とはみなしません。
「人物」には、自然人であるか法人であるかを問わず、財産権の主体となりうる存在全般を含みます。
「著作権」は、複製権、上演権、演奏権、公衆送信権、伝達権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権、翻案権、公表権、氏名表示権、同一性保持権、その他著作財産権及び著作者人格権、著作隣接権、データベース権に類するものの一切を含みます。
「利用」は、複製、改変、二次創作、頒布、販売、貸与、上演、ソフトウェアの実行を含む、ありとあらゆる使用を指します。
「準拠著作物」とは、本宣言の条件下で利用可能であることが明示された著作物を指します。
「作成者」とは、個々の準拠著作物について、当該著作物が本宣言に準拠するまでその著作権を有していた人物全員を指します。
「オリジナルの準拠著作物」とは、作成者によって公開された時点の準拠著作物を指します。
「二次創作物」とは、作成者以外の人物によって準拠著作物の一部または全部が改変されたことで生じた著作物、及び、作成者以外の人物によって準拠著作物が組み込まれた著作物を指します。
「二次創作者」とは、二次創作物の著作権者(二次創作物が著作権放棄された場合は、その著作権放棄の時点まで著作権を有していた人物)のうち、オリジナルの準拠著作物のみを制作した作成者以外の人物を指します。
「利用者」は、準拠著作物を利用する人物を指し、これには二次創作物を利用する人物も含まれます。
第1条 権利の放棄
作成者は、準拠著作物の著作権の全てを放棄し、今後、恒久的に、いかなる法域においても、準拠著作物について一切の著作権を行使しないものとします。
また、準拠法やその他の理由によって準拠著作物の著作権の一部または全部の放棄が認められない場合、作成者は、その著作権のうち放棄可能な部分があればこれを全て放棄し、準拠著作物及び二次創作物を受領する全ての人物に対して準拠著作物のあらゆる利用を無条件かつ恒久的に許諾し、作成者はどのような人物に対しても準拠著作物の著作権に基づくいかなる要求も行わないことを確約します。
第2条 免責
準拠著作物は完全に無保証です。作成者は、明示、暗示を問わず、準拠著作物のいかなる品質も保証しません。
準拠著作物を利用すること、及び、利用しないことについては、全てこれを行う人物が責任を負うものとします。
準拠著作物を利用することによって、あるいは、準拠著作物の一部または全部が利用できないことによって発生したいかなる損害についても作成者は賠償責任を負いません。
第3条 二次創作物
二次創作物の利用条件は当該二次創作物の二次創作者が自由に決定することができます。
二次創作者が二次創作物を本宣言に準拠させることを明示した場合、当該二次創作物は準拠著作物として扱われ、本宣言が適用されます。
二次創作者は、二次創作物を本宣言以外のライセンス、特に、二次創作物の受領者に対し著作権を根拠として二次創作物の利用を制限するような条項を持つものに準拠させる場合、当該二次創作物が本宣言の準拠著作物ではないことを受領者にわかりやすく周知することが推奨されます。
第4条 商標
準拠著作物の題名またはその一部が、作成者が権利を有する商標または登録商標である場合において、二次創作者がこれを自身の二次創作物の題名または題名の一部として公表する場合は、二次創作物を本宣言に準拠させるものとします。
二次創作者がこの条件に従う限り、作成者は当該の二次創作者に対し、当該の商標または登録商標を二次創作物で使用することについて使用料を要求しません。
第5条 特許
準拠著作物がソフトウェアまたはソフトウェアに類するものである場合、個々の作成者は、オリジナルの準拠著作物のうち自身が制作したを部分を利用者が実行または複製、頒布することにより自身が有する特許権が必然的に侵害される場合、準拠著作物が改変されているか否かを問わず、当該準拠著作物及びその二次創作物の利用者に対して、当該特許の通常実施権を無償かつ恒久的に許諾します。
第6条 期待されていない用途
作成者は、準拠著作物が、人種、身体的特徴、性別、性的指向、国籍、身分、財産、出身、病歴、信仰などに基づく差別を支持する目的や、その他公序良俗に反した用途で利用されることを肯定的に評価することはありません。
このような用途で準拠著作物を利用する場合、利用者には、準拠著作物がそうした用途での利用を期待して制作されたものではない旨を明示することが極めて強く推奨されます。
また、準拠著作物を政治的あるいは宗教的な思想・信条の表明に利用する際は、作成者が当該の思想・信条を主張する目的で準拠著作物を制作したことを明示していない場合、利用者には、作成者がそのような表明に用いられることを期待して準拠著作物を制作したわけではない旨を明示することが強く推奨されます。
第7条 準拠法
本宣言は全世界で有効なものであり、作成者は現在存在する全ての法域、及び、未来に発生するいかなる法域でも準拠著作物へ本宣言が適用されることに同意します。
補足
本宣言の全文は本宣言に準拠します。
2025年 8月 1日 無権利創作機構(任意団体)